瀬野和広＋設計アトリエ|自然と社会が、共に持続的環境形成が育まれる建築とまちづくりをするために。

かずとしくんの絵
八戸・柿崎さんの家づくり。妖怪大好きかずとしくん（年中）の、6才とは思えない筆さばき！渾身のイラストたちをご覧ください。
2023・12

 

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木踊館

地財地建が誘う「あんばいいいいいん」づくり

年老いた両親も通う、郷里地元地区の歯科医院の移転計画。既存施設が手狭になるほどの人気クリニック。技術は言うに及ばずドクターの人柄がその理由。建築はその要素を温かく包み込む容積間取りにしないといけない。木を「編み組み纏う」が建築テーマ。ない足回り材は、天竜天然乾燥桧を調達。あとは裏山西山杉を大江町製材組合で挽いてもらうこと120㎥あまり。編み組む屋台骨から羽柄材、纏いの板材まで全て天然乾燥西山杉で室内空気環境を整えた。圧巻は小屋組み吹き抜け。治療中患者はほぼ仰向けで天井を見上げている。そこに「編み組み纏う」木の構成を楽しんでもらう、「踊り小屋束」組が建築的見せ場。患者の不安解消に少しでもつながればとの想い。また、目に入るすべての木は完全地場産材。ここはコミュニテイサロン的クリニックとして、地域のコア機能を発揮する場所になることも意図している。郷里地元地区の新しい風景になるクリニック風体からも、裏山の木と木造建築、その空気を語り継げる存在であってほしい。

合掌館

はたらく家づくり

構想２０年。讃岐大工館計画が縁で建窓オーナーとの交流が始まった。讃岐も杉桧の産地であることから、地域でも名高い製材や木材店を回るも、完全天乾材はやはりない。吟味したい材がないことで、多少の遠足サプライチェーンに。あとは地元で、見立て、墨付け、刻みの匠の技に委ねる。こうして、天竜葉枯らし天然乾燥杉・桧の屋台骨を編み組む纏う合掌容積体が立ち上がる。プログラムテーマは「はたらく家づくり」。常にストレスとのあんばいを計りながらのデスクワークが続くことから、家同様の空気環境づくりが優先課題と悟った。一方、矩勾配の合掌屋根は、この地の定番淡路瓦（銀古美/大栄窯業）で、これから長い年月の古美を醸し出すだろう。通気採光の越屋根造作は、ベーハ小屋（煙草の葉乾燥小屋）を模した。いずれにせよ、このまちこの場所の「はたらく家づくり」が、この地域における印象的風景の一部になってくれることを願う。